農地拡大に無償で250億円 農中・全農、農家向けに
無償で巨額を提供!?
農林中央金庫(農林中金)は、全国農業協同組合連合会(JA全農)と協力し、農地の大規模化を目指す農家に対して、今後5年間で、「無償」で総額250億円の資金を提供する支援策を始めることになりました。
この大盤振る舞いの背景には、何があるのでしょう。
全国で計約997万人(2012年度)の会員を誇る農業協同組合組織のトップに君臨するのが、全国農業組合中央会(JA全中)。その傘下に、農産物販売事業などを担当するJA全農、金融事業を担い、1兆円超というメガバンク並みの運用益をあげている農林中金などがあります。
トップのJA全中は、安倍政権が推進する、農産物の関税撤廃を盛り込んだTPP(環太平洋経済連携協定)を痛烈に批判してきました。これに対し、安倍政権は、JA全中の権限縮小を主軸に据えた農協法改正案を起案し、先月、衆院本会議で可決されました。法案が成立すれば、JA全中は農協法に基づかない一般社団法人となり、地域農協の監査部門も切り離すことで、権限が大幅に縮小されます。つまり、事実上の"解体"ということです。
"二枚腰"の支援策
今回、傘下である農林中金による資金提供は、JA全中と同じ轍を踏まないため、協力姿勢を示しておく"二枚腰"の方策といえるでしょう。支援策の条件をクリアできる農家は、全国170万戸のうち、約10万戸といわれ、農林中金は、1戸あたり最大400万円を無償で提供します。内訳は、「稲作農家向けに200億円」「野菜農家に50億円」「畜産・酪農家にも50億円を検討」で、7月1日から募集が始まりました。この資金により、農家は、安倍政権の政策に沿った「農地の大規模化」が可能になります。
農業の底上げにつながるか
農林中金は、運用益が農家へ十分に還元されていない点が問題視されてきました。安倍政権からのいらぬ圧力はかわしたいところです。
農業分野の規制改革は、アベノミクス第三の矢である「成長戦略」の目玉。250億円で、日本の農業がTPPによって浸食されるのではなくて、海外と闘える農業に脱皮して欲しいものです。
▼農林中央金庫:ウェブサイト
[2015.7.7]
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