セルロースナノファイバー;植物由来で軽い。ボールペンからトイレクリーナーまで。2030年までに1兆円規模
ボールペンからトイレクリーナーまで
新素材の開発競争が世界的に激化するなか、植物由来で軽くて強い次世代素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を使った商品が、相次いで市場に登場しています。国内では、紙おむつからボールペンのインク、オーディオのスピーカー、トイレクリーナーまで幅広い用途があり、今後も拡大する模様。世界最先端のこのバイオマス素材で、世界を席けんしたいものです。
植物繊維を化学的、機械的に処理
CNFは、植物繊維を化学的、機械的に処理し、ナノレベル(1ナノメートルは1ミリの100万分の1の長さ)まで細かくほぐした次世代素材です。軽量ながら、鉄の5倍以上の強度があります。ほかに、極細で表面積が大きい、ガスを通しにくい、粘性があるなども特徴も備えます。日本は官民で研究開発を進めており、国際標準づくりでも主導権を握ろうとしています。
品質の高さから逆輸入も
エリエールブランドの大王製紙(大王製紙(株):東京都千代田区 佐光正義社長)は今年4月、世界で初めてCNFを配合したトイレ用ペーパークリーナーを発売しました。トイレ周辺の目に見えない雑菌や汚れなども除去することができ、従来型のペーパークリーナーより破れにくいスグレモノです。三菱鉛筆(三菱鉛筆(株)東京都品川区 数原英一郎社長)も、インクにCNFを配合したボールペンを北米で発売。インクが極めて滑らかになり、好調のため、昨年から国内でも販売を始めました。日本製紙グループ(日本製紙(株):東京都千代田区 馬城文雄社長)の大人用紙おむつは、従来品の3倍以上の消臭力を誇ります。
30年に1兆円市場へ
経済産業省は2020年にCNFの製造コストを現在の4分の1から10分の1に下げ、30年に1兆円の市場に育てることを目指しています。官民一体の産業化を期待したいものです。
●関連記事:「ブリジストン:バイオマス合成ゴムを開発/天然ゴム強度を超える」[2017.2.13配信]
[2017.6.7]
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