地熱発電計画が活発化。経産省の有識者会議は、2030年には総発電量に占める地熱の割合を、現状の0.3%から1%程度にまで引き上げる方針。
メイド・イン・ジャパンのエネルギー「地熱発電」への期待
純国産のエネルギーである「地熱発電」を巡る動きが、活発化してきました。安倍首相が、地熱発電の開発支援を表明(今年6月)。環境省による、国立・国定公園内での開発に対する規制緩和方針(7月)。2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度という追い風もあり、電源開発(Jパワー)などが北海道で5月に着手した大規模発電など新規開発は、出力1万キロワット超の大型案件だけで、全国約20カ所に上っています。
地熱発電は、マグマで熱せられた熱水を沸騰させたり、地下から高温の蒸気をくみ上げたりしてタービンを回し、発電します。二酸化炭素の排出がなく、太陽光や風力と違い、天候に左右されないなどの利点があります。政府は、地熱発電を温暖化対策の一つに位置づけており、日本の電源構成を議論する経済産業省の有識者会議は今年3月、総発電量に占める地熱の割合を、現状の0.3%から2030年には1%程度にまで引き上げる方針を公表しました。
エネルギー資源貧国の試行錯誤
地熱発電を進めるうえで懸案だったのが、国立・国定公園でした。火山国の日本は、豊富な発電資源にあふれているわけですが、発電候補地の多くが実は国立・国定公園内にあります。規制緩和により、国立・国定公園(総面積約346万ヘクタール)の約12%を占める「第1種特別地域」で、新たに「傾斜掘削」による地下の開発が認められました。傾斜採掘とは、その名の通り、できれば公園外側から地熱を取り出すための穴を斜めに掘っていき、地上施設も公園外に設けることで、景観への影響などを抑えます。
エネルギー資源に乏しい日本は、その多くを海外からの輸入に頼っています。最も利用度の高い石油では、サウジアラビアやアラブ首長国連邦など、政情が不安定な中東地域からの輸入が約9割を占めます。
しかしその石油も無尽ではりません。原子力発電は大きな事故を起こしました。国立・国定公園の近くで、掘削作業や立ち上る蒸気を見たら、そんなことも考えてみましょう。
[2015.8.26]
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