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「中小企業白書2022」を読む(2)「デジタル化」は目標達成のための手段

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コロナ禍で一気に進んだように見えるデジタル化だが......
「2022年度版 中小企業白書」の分析テーマとして、感染症への対応、事業見直し、取引適正化、地域課題の解決などと並んで「デジタル化」が掲げられています。
デジタル化の進捗度を大きく4つのレベルに分けると、次のようになります。

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レベル0は、紙文書と口頭で業務を行っている段階です。
レベル1は、紙文書を電子化したり、電子メールを使用するなど、社内の個別業務をデジタル化した段階です。これを「デジタイゼーション」と言います。
レベル2は売上、顧客、在庫などの情報をシステムで管理する段階で、「デジタライゼーション」と言います。これにより業務フローの見直しなどの事業効率化を行ないます。
レベル3は「デジタルトランスフォーメーション」、いわゆる「DX」です。システム上で蓄積したデータを解析・活用することで、ビジネスモデルの変革や競争力強化を実践する段階です。
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デジタル化を実践している中小企業の割合の変化を見てみましょう。

コロナ禍が始まって2年余、企業のデジタル化は加速しました。特にレベル2の「デジタライゼーション」に取り組む中小企業の割合が、コロナ禍の前(2019年)は32.8%だったのが、2年後(2021年)には46.7%と増加しています。しかし約3割の企業は、いまだデジタル化していないレベル0にとどまっています。

「デジタル化」は目標を達成するための手段だ
算盤が電卓に、電卓がコンピュータの計算ソフトに替わったように、「デジタル化」とは本来、手段でしかありません。ですから、やみくもにデジタル化を進めるのではなく、会社の現状と課題をしっかりと捉えた上で、目標を設定し、達成するための手段として「デジタル化」を取り入れていくのが肝要です。

具体的には何をどうすればよいのか。「2022年度版 中小企業白書」で紹介されている企業の事例が参考になりますので、いくつか例を挙げてみます。

株式会社ヒサノ(熊本県、運輸業)
目標......取引網の拡大、高付加価値化
誰が......社長、専務、社外専門家(ITコーディネータ)
何を......配車業務のシステム化
結果......配車効率が上がり、付加価値が向上

松田紙業有限会社(千葉県、パルプ・紙・紙加工品製造業)
目標......事務作業の効率化
誰が......システムベンダーの大塚商会と連携
何を......製造日誌のデータベース化、特有の商習慣に合わせたシステムの構築
結果......不良品トレース管理で回収費用等の負担を軽減、信頼のブランドイメージ創出

株式会社カワトT.P.C.(山口県、マンション給水部品などの製造)
目標......引退する副社長の知識やノウハウの伝承
誰が......役員、中途採用したシステムエンジニア3名
何を......受注から納品までの基幹システムを構築、蓄積した情報をデータ化
結果......進捗状況を社内で共有、作業効率アップ、大手ゼネコンとの取引増加

このうち最初の2社はそれぞれ運輸業と紙・パルプ製造業です。どちらの業界も現在、業績の見通しが非常に厳しくなっていますが、株式会社カワトT.P.C.の川戸社長が「デジタル化の取組みをはじめとした効率化の積み重ねで活路を見出すことができるのではないか」と語っているとおり、できることは必ずあります。自分の会社はどんな目標に向かって何ができるのか? 全国の中小企業の具体的な取組みをぜひ参考にしてください。

経営で大切なのはスピード、デジタル化で経理を効率化
経営に本当に必要なのはスピードです。私は、支援先のうち月次で損益計算書(P/L)を見る必要がある業界の企業には「できるだけ早く、できれば3日以内で経理処理をしてください」とお願いしています。P/Lは、よりリアルなものでないと意味がありません。月末締めならば、月が変わった2日か3日には、ざっくりとしたものでもよいので試算表ができあがっているのが理想です。推定でもいいからおよそこれくらいという数字を出すことは、会計の仕組みとしてはさほど難しいものではありません。

従来、経理の担当者には正確性が求められてきました。けれど、決算はスピードの時代です。このことだけでも「デジタル化」を進める意義は大いにあると思います。

[2022.5.13]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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