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日本郵船、商船三井、川崎汽船/2018年コンテナ船事業統合、経常利益1100億円の計画

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事業統合は歴史的転換点
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船舶の供給過剰が続き、市況低迷による赤字に苦しむ海運業界。日本郵船(日本郵船(株):東京都千代田区 内藤忠顕社長)、商船三井((株)商船三井:東京都港区池田潤一郎社長)、川崎汽船(川崎汽船(株):東京都千代田区 村上英三社長)の3社が、コンテナ船事業の統合に踏み切りました。市況回復は数年以上先とみられます。「歴史的転換点」(商船三井・池田社長)になるでしょうか。

中古コンテナ船の資産価値下落傾向
平成28(2016)年3月期末時点で、日本郵船は19隻、簿価で959億円のコンテナ船を保有。商船三井は16隻で594億円、川崎汽船は7隻で381億円です。しかし、中古コンテナ船の資産価値は下がっており、価値のV字回復は期待できません。

配当、無配、未定/株式市場は静観
日本郵船と川崎汽船は、平成29(2017)年3月期の年間配当が無配。商船三井も、当初2円を予定していましたが、期末配当を未定と修正しました。業績見通しへの懸念が念頭にあったことの表れで、株式市場も今回の決定に静観の構えです。

統合効果で経常利益1100億
コンテナ事業統合の目的は、言うまでもなく、シナジー効果(相乗効果)です。今後、平成29(2017)年7月には共同出資会社が設立され、スケールメリットを狙う一方、合理化を徹底します。
3社は、その利益を経常段階で「年1100億円」と見込んでいます。これは、平成29(2017)年3月期にコンテナ船事業で見込んでいる経常損失額計970
億円を上回る額で、実現すれば、事業は黒字転換します。

業務、収益管理システムの統合
とはいえ、懸念材料も多い。コンテナ船の業務、収益管理のシステムは各社バラバラで、その統合が急務です。新会社は平成30(2018)年4月にサービス開始予定ですが、1年半で間に合うかどうかが問われています。相当な協調、妥協、努力が必要なことは言うまでもなく、3社統合の「歴史的転換点」、その先に見える国際競争力に勝つ事業展開にってもらいたいものです。

[2016.11.16]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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