首都圏のマンション市況に変化。2016年度新築販売戸数3万6450戸、4%減。節税需要、爆買いブーム去る
発売戸数3万6450戸、前年度比4%減
価格高騰が続き、高値安定の感があった「首都圏のマンション」市況に、後退の影が差してきたようです。不動産経済研究所の発表によると、平成28(2016)年度の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年度比4%減の3万6450戸でした。
一般層向けのマンションが減速し、富裕層向けの「億ション」も伸び悩んでいます。要因を分析してみましょう。
タワマン節税ブームも一段落し...
まず、挙げられるのは、富裕層の需要が一巡したことです。平成28(2016)年度の億ションの販売戸数は約1300戸で、前年度比で3割近くの減少でした。契約率も72%で、約11ポイント下げています。平成27(2015)年に相続税の引き上げがあり、現金で持っておくよりも、マンションを購入することで相続資産を圧縮できる、いわゆる「タワマン節税」ブームが起こりました。その需要が一段落し、節税目的の強引な購入が減った、というのが専門家の一致した見方です。
薄れた日本のマンションの割安感
一般層向けマンションの価格を引き上げていた、中国人などアジアの海外投資家の姿も目立たなくなりました。購入価格がこの数年で2割以上あがった物件も多くありましたが、投資先としての、日本のマンションの割安感が薄れてきたのでしょう。米大統領選まで円高が進んでいたこと、中国政府が資本流出規制を強めていることなども、中国人富裕層の動きを抑制しました。いわば、マンションの"爆買い"ブームが去ったのです。株高の期待も薄れており、日本不動産研究所((財)日本不動産研究所:東京都港区 福田進理事長)の吉野薫主任研究員は「2万円程度の株価であれば資産効果による需要拡大は期待しにくい」と指摘します。
ベイエリアは売り物件急増中
一般のファミリー層は、高くなった都心を離れ、郊外に目を向けています。東京・豊洲などベイエリアに林立したマンションは、価格低下を懸念して売り物件が急増中との情報もあります。都心集中という近年の流れが終わるかもしれません。
●関連記事:「マンション発売実績の「西高東低」が鮮明に。首都圏前年同月比で7.4%減。近畿圏契約率は75%超え」[2017.3.25配信]
[2017.4.28]
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