太陽光パネルの国内出荷量(2015):前年度比23%減の714万キロワット、メガソーラー不振
「太陽光発電協会」(一般社団法人太陽光発電協会:東京都港区 長榮周作代表理事)は今年6月、平成27(2015)年度の太陽光パネルの国内出荷量について、「前年度比23%減の714万キロワット」と発表しました。前年割れは、8年ぶりです。
「固定価格買い取り制度」(FIT)※が導入され、近年、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を各地で目にするようになりましたが、建設ラッシュの"終息感"も漂っています。
3.11以降、メガソーラー建設が急増
エネルギー問題は、東日本大震災が大きな転機でした。
全国の原子力発電所が次々、稼働停止の状況になり、再生可能エネルギーに注目が集まりました。平成24(2012)年にFITが導入されると、メガソーラーの建設ラッシュが到来。太陽光発電は、地熱や風力発電に比べ建設が容易で、買い取り価格も高額だったためです。2年後、発電量は922万キロをワット記録しました。
送電網問題で出荷は毎年1/4ずつ減に
ところが、この急増が"裏目"に出ます。太陽光発電による「送電網への負荷」が深刻な問題となり、電力会社のなかでも、買い取り契約を保留する動きが出ました。
買い取り価格も年々下がり、平成28(2016)年度には、平成24(2012)年度より4割も低い、1キロワット時あたり24円(出力10キロワット以上)まで低下。
メガソーラーは場所の確保が難しいこともあり、産業用太陽光パネルの出荷量も、毎年、4分の1減るペースで落ち込んでいます。打開策が急務です。
住宅用太陽光発電の需要は伸び
ただし、住宅用太陽光発電の需要は伸びていて、下落する要素が見当たりません。
政府は、年間の電気やガスのエネルギー消費量を、太陽光で生み出すエネルギーと差し引きゼロとする「ゼロエネルギー住宅」(ZEH)※の普及を目指していますが、ZEHに太陽光発電は不可欠。メガソーラーが主力だった外資系パネル各社も、今後は、住宅用に舵を切っていくでしょう。
[2016.07.11]
※固定価格買い取り制度/(Feed-in Tariff/読み方はエフアイティー):
再生可能エネルギーで作った電力を、電力会社が一定価格で買い取ることを法律で定めた制度。
再生可能エネルギーで作った電力を、電力会社が一定価格で買い取ることを法律で定めた制度。
※ゼロエネルギー住宅/(ZEH/読み方はゼッチ。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称):
「消費、作り出すエネルギーが±ゼロ」の住宅。経産省が定義する5つの条件を満たすことで認可される
「消費、作り出すエネルギーが±ゼロ」の住宅。経産省が定義する5つの条件を満たすことで認可される
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