国内の賃金水準が世界的に「貧者のサイクル」!国内時給も地域で200円以上の格差に外国人労働者は?
ベースアップ騒がれるものの、実態は20年前から9%減少
日本国内の賃金はここ数年、安倍政権から企業へ「賃金アップ」を要請するなどベースアップが継続してると言われていますが、過去20年間の日本国内労働者の時給は9%減少しており、主要国では唯一のマイナスとなりました。
産業界ではグローバル化が急速に進み、国際競争力の維持を理由に賃金を抑えてきたためとみられますが、低賃金を温存するため、生産性が向上せず、効率化が進まない「貧者のサイクル」から抜け出せない状況にあります。
労働額は先進国で日本だけがマイナスへ
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)によると、民間企業の残業代を含めた総収入について1時間あたりの労働額は、国際的な比較が可能な平成29年と9年に比べ、20年間で日本は9%下落しました。
OECDによると、英国は87%、米国は76%、フランスは66%、ドイツが55%増加したのに対し、唯一日本だけがマイナスとなり、日本の平均年収は、米国の約3割下回る結果となりました。
日本は金融危機に直面した平成9年をピークに労働額が減少し、大企業では定期昇給など1%台の増加を維持したものの、非正規社員も増加し、一人あたりの時給は減少しました。
最低賃金がくの決め方に疑問?
現在の日本の賃金は、最低賃金が決められ、すべての企業が従業員に支払う最低限の時給で、正規社員だけでなく、非正規社員や派遣社員、パート、アルバイトも対象になっています。
厚生労働省では、地域により最低賃金額を4ランクに分け、目安額を示し各地域が最低賃金を決めており、最低賃金を下回れば雇用する企業に罰金が科せられます。
国内の平均時給は、875円ですが、地域別に見れば東京都が985円と最も高く、鹿児島県は761円と224円もの開きがあり、このランクシステムを継続すれば地域間の賃金格差は広がるのが予測できます。
地方、東海4県では賃金問題解決への成功例も
安倍政権は、来年度より新たな在留資格で外国人労働者の受け入れを拡大していきますが、外国人労働者は時給の高い都市部に集中し、地方の人手不足は解消されない懸念もあります。
ただ、人手不足が大きな課題となる企業において、愛知や岐阜、三重、静岡県の東海4県では、外国人従業員が働きやすく、暮らしやすい環境を整えるため、10年前に地元経済団体の協力で「適正雇用と日本社会への適応を促進するための憲章」を策定し、現在でも外国人労働者は増加傾向にあり、取り組みも進んでいます。
こうした新たな取り組みによって、各地域においてもグローバル化の1つとして日本の賃金水準についての議論が期待されます。
●関連記事:「改正入管法成立、外国人労働者34万人受入れ!「人手不足」問題が優先、外国人への対応策は?」[2019.1.4配信]
[2019.3.26]
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