「元気な高齢者」は地方へ! 政府の地方創生の柱でもある「高齢者の地方移住受け入れ」を検討する自治体は200以上に増加中。
県とJRが共同で「移住お試しツアー」も
少子高齢化が急速に進む日本。元総務大臣の増田寛也氏が代表を務める日本創生会議が昨年、人口減少による「地方消滅」を唱えて以来、地方都市の存続に大きな関心が集まりました。こうしたなか、大都市圏から「元気な高齢者」に地方移住してもらう方策に取り組む自治体が、全国で200を超えています。高齢者の知識や経験を街の活性化につなげようというものです。
秋田県では、秋田銀行や秋田大学、企業、行政が連携し、地元企業の活性化や介護関連産業の創出を目指すモデル地区として、すでに4つの候補地を選びました。新潟県南魚沼市も、行政と地元にある国際大学が協力し、200世帯、400人の高齢者が住む街区の整備を進めています。山梨県都留市と都留文科大学は、既存の団地を活用した700世帯、1千人が住む街づくりを計画。長野県飯山市は、北陸新幹線飯山駅開業を首都圏のシニア移住者を呼び込むビックチャンスと捉え、県やJR東日本と共同で「移住お試しツアー」実施しました。
日本版CCRCに期待がかかる
こうした動きのモデルになったのが、米国で発展・成功したCCRC(Continuing Care Retirement Community)です。シニア層が健康なうちに移り住み、生涯学習や社会貢献に取り組みながら暮らし、介護や医療が必要になっても、転居せずにケアや生活支援を受けられる生活コミュニティのことです。米国内に約2千カ所あり、約75万人が暮らしています。地方創生を掲げる日本政府は、「日本版CCRC」の推進に熱心です。移住者たちはいずれ「支えられる側」になりますが、その際の負担を超える経済効果が見込める、と期待するからです。
現在、人口の4人に1人を占める65歳以上の高齢者数は、2042年にピークを迎えます。その後、人口は減少しますが、高齢化率の上昇は続きます。
高齢者の定義を「75歳以上」とすることが議論されているように、ちまたに大勢いる元気な高齢者。その活力を地域再生に生かせるかが今、問われているのです。
[2015.8.10]
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