日本郵政グループ上場から約1か月。鳴り物入りの大型上場の今後の成長戦略は?
売り出し価格はNTTドコモ以来の大型新規上場
11月4日に東証1部に上場した「日本郵政グループ」3社の船出は、予想以上の上々の滑り出しでした。グループ本丸の「日本郵政」の初値は売り出し価格を16.5%、「ゆうちょ銀行」は15.9%上回り、「かんぽ生命保険」に至っては56%を上回るストップ高を記録しました。個人投資家の期待が伺えますが、各社の成長戦略が不透明なことは変わりません。
売り出し価格は、「日本郵政」が1400円、「ゆうちょ銀行」1450円、「かんぽ生命」2200円。3社を合わせた売り出し金額は計1兆4362億円で、規模としてはNTTドコモ以来の大型の新規上場でした。売り出し価格と発行済み株式総数から試算した3社の時価総額は、なんと14兆円。売却益が復興財源に充てられる国策案件であり、信用力としては申し分ないうえ、グループが示した配当利回りを平均3%台にする方針も人気を呼ぶ理由でしょう。
「生活サポート企業」を目指すが課題は山積み
しかし、経営の実態を見れば、課題は山積みです。3社とも、全国約2万4000の郵便局を軸にした「生活サポート企業」を目指しますが、「日本郵政」は肝心の郵便・物流事業が赤字です。グループの稼ぎ頭「ゆうちょ銀行」も、運用の大半を占める日本国債の利回りが低下し、今期の経常利益は2割減の見通し。「かんぽ生命」も保有契約が減少しており、いずれも完全民営化への道は険しい。具体的な商品設計や新規業務のアイデアも見えてきません。
郵政民営化法案が可決されてから、約10年。この民営化を成功させることが、日本経済の再生につながります。その試行錯誤に厳しい目を向けつつも、改革を応援していきましょう。
[2015.12.9]
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