被災優遇住宅ローン「災害復興住宅融資」:被害26万戸なのに、金利0%、たった1,800件の申込み
災害復興融資申込み、阪神・淡路の1/5
住宅金融支援機構は10月17日、被災者向けの「災害復興住宅融資」の申込み件数が今年3月から9月まで1,803件(速報値)と発表しました。同機構は、震災からの早期復興の支援策として、住宅や宅地に被害を受けた被災者向けに長期、固定低金利で融資を行っています。阪神・淡路大震災では、申込みが半年で9,500件に上っていただけに約1/5の申込数は復興の遅れが露呈させました。
同機構が実際に融資をした件数は117件、融資額は12億9,840万円にとどまっています。「災害復興住宅融資」は、震災前より利用されていますが、震災により金利を当初5年間0%に引下げ、据置期間、返済期間も現行の3年から5年に延長するなど優遇措置がとっています。
進まぬ融資、福島:原発補償問題、岩手:高台宅地確保問題
「災害復興住宅融資」の申込み件数は約7割を宮城県が占めたのに対して福島県、岩手県の申込数が増えていません。福島県は原発事故により建て替えなどの検討に入れず、岩手県は高台など宅地が確保できないという課題を抱えたままです。
さらに被災地には新たなローンと既往のローンがどう扱われるか決まっておらず、二重ローンの懸念のある被災者に不安も残ります。金融庁では既往ローンが残る被災者と金融機関が免除などを協議する「個人版私的整理ガイドライン」を設け、対処しています。相談件数は9月末までに1,100件を超えました。特に福島県では原発事故の賠償金が決まらないなど対応の遅れが目立ちます。
被災地3県:全壊+半壊26万戸
被災地3県の住宅、建物被害は10月12日現在、全壊・半壊合わせ、福島県で70,345戸、宮城県167,960戸、岩手県が24,738戸と26万戸を超えます。円滑、柔軟な対応で「災害復興住宅融資」の利用を促し、早期復興を現実化させたいところです。
政府は10月17日、今年度の第3次補正予算案で盛り込む「東日本大震災復興交付金」を、総額1兆5,600億円と明らかにしました。交付金は、被災した自治体の「自由に使える財源」の要望を受け、被災者の住宅再建や漁業などの支援に重点がおかれています。住宅再建では、街を高台や内陸部へ集団で移動する事業や、新しい街への道路整備、造成地での土砂崩れ対策が盛り込まれています。
政府新政策へ期待:ポイント付与・税制優遇で住宅取得意欲増大
第3次補正予算の成立、復興財源などの交付を急ぎ住宅産業を牽引役に、関連産業へ波及効果をもたらせ地域の活性化、雇用創出が急がれます。エレクトリクス化した次世代住宅は、太陽光パネルや蓄電装置など新たな産業の成長を早めます。住宅関連メーカーなどに限らずに自動車や電機など様々な産業の参入によって省エネ、環境配備された住宅の街が望まれます。
住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」と、新エネルギーポイントなどの付与や、住宅取得控除などによって、新たな住宅取得の意欲をもってくれれば景気高揚も夢ではないです。くれぐれも消費税増税など国民の消費意欲を喪失させる発言は避けてもらいたいものです。
[2011.10.21]
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