フォルクスワーゲンの不正、世界的大問題、/制裁金180億ドルとも予測、信頼回復の可能性
制裁金は180億ドルに達する可能性も。極めて悪質な不正
ドイツの自動車大手「フォルクスワーゲン(VW)」が、ディーゼル車の排ガス規制を逃れるため、不正なソフトウェアを搭載していた事件が発覚しました。世界中に波紋が広がっています。世界各国で総計1100万台が関係するとされ、米国の規制当局が大気浄化法違反でVWに科す制裁金は、最大180億ドル(約2.2兆円)に達する可能性があるとも指摘されます。
不正の内容は、極めて悪質でした。ディーゼル車はガソリン車より二酸化炭素の排出量が少ないのですが、一方で、窒素酸化物(NOx)などを多く出します。近年、NOxも規制が厳しくなり、ディーゼル車には、化学技術や排気ガス再循環システムなどを使った「排ガス対策装置」が装着されています。ところが、VWは、自社グループのディーゼルエンジン「EA189」を搭載した車両に、排ガス試験の時だけ排ガス量を減らすソフトウェアを搭載しました。ハンドルの動きなどから「試験を受けている状態」を察知する、悪質極まりない仕掛けです。
米国が発見。本国や欧州は見逃していた
実際の走行時は、基準値を超える大量のNOxを大気中にばらまきますが、車の燃費はよくなり、エンジンの耐久性も高まって、"高性能"を演出できます。米国に本部を置く国際非営利団体「ICCT(国際運輸環境委員会)」から検査を委託された大学が、排ガスの試験結果と走行時の排ガス量のデータが異なることを「発見」しました。ドイツや欧州では見逃されていたのです。
VWのマーティン・ウインターコーン最高経営責任者(CEO)は辞意を表明し、後任に、傘下の「ポルシェ」のトップ、マティアス・ミュラー氏が就任しました。過去に例がないほど失墜した信頼と権威を、どう回復させるのか見ものです。産業の発展と環境保護の両立は、確かに難しい課題です。しかし、この地球や、未来に生きる子孫たちのことを考えれば、それを実現させてこそ、世界企業足りえるのです。
[2015.10.8]
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