自己破産者13年ぶりに増加!高齢・シニア層が増加傾向に「グラミン銀行」の役割は?
自己破産要因、若者の「遊び目的」から高齢者の「生活資金」へ
日本弁護士連合会と消費者問題対策委員会によると、平成28年の自己破産の申立てが6万4,000件を超え、減少傾向から13年ぶりに増加に転じました。
自己破産はかつて若者がギャンブルなど遊びを目的に消費者金融から資金を借り入れ、多重債務に陥り急増。この対応策に貸金業法が改正され、総量規制という年収の3分の1までしか借り入れできなくなり、自己破産者は減少し続けていました。
ただ、最近の自己破産者は、働き盛りの中年や退職したシニア層が、銀行のカードローンを利用し自己破産に陥るケースが増加しています。
原因は、やはり銀行カードローン
自己破産増加の要因として問題となっているのは銀行のカードローンで、銀行など金融機関では、日銀のマイナス金利政策で企業への融資などの利ざやは期待できず、個人向け無担保のカードローンで高い利ざや収益を上げましたが、逆に自己破産が増えたことで今年10月から金融庁が銀行へ調査に入っています。
一方、銀行側も自主規制としてカードローンは貸金業法の総量規制には適用されていませんが、自主的に上限を設けた銀行もあります。
ただ、強制ではなく、自主的なもので、未だにカードローンのテレビコマーシャルや広告は目につきます。
「働いているから安心」は現代では通じない
高齢でも働いて収入を得ているから「まだ安心」の認識が自己破産に繋がっているのが実態です。
夢のマイホームを手に入れ、住宅ローンを返済しながら働き続け、子供も成長とともに高校、大学と資金ニーズが高くなる40〜50歳代。退職を目の前にして、老後の生活資金は「退職金でなんとかなる」が普通の考えでしょう。
ただ、その間までには病気によって仕事を失ったり、企業の業績悪化で所得が減ったり、リストラになったりと今の時代では考えられないことはありません。
また、退職金を運用しようと株式や不動産などに投資を進める金融機関なども多く、十分調査せずに投資商品に手を出し老後資金を失い自己破産申請することも目立っています。
救いの一手となるか、「グラミン銀行」日本上陸
自己破産を申請する前に「少しの資金さえ借りられればやり直せるのに」と思った方も多いかと思いますが、貧しい人にも仕事を始める資金を無担保で貸し出す「グラミン銀行」が平成30年夏にも日本に上陸しそうです。
グラミン銀行は、昭和58年バングラデシュのムハマド・ユヌス氏が創設し、ノーベル平和賞も受賞しました。同行は、農民など女性が刺繍や竹カゴ作りに必要な道具の資金を無担保で貸出し、平成20年には米国にも進出。ニューヨークを始め10都市で9万人以上、800億円以上を貸し出しています。バングラデシュ、米国ともに返済率は9割を超えています。
グラミン銀行の日本上陸は、日本の金融に一石を投じるかもしれません。
●関連記事:「資金需要判断DI、個人・企業ともに上昇!アパートローン、カードローンは底入れ」[2017.10.24配信]
[2017.11.16]
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