マネーストック統計:13年ぶり高水準、前年同月比6.7%増の90.3兆円/マイナス金利でタンス預金増
マネーストック、13年ぶりの高水準
国民の経済意識を映し出す指標として、「マネーストック」統計があります。世の中に出回っているお札や硬貨の変化に注目した数値です。日銀によると、今年2月の現金の平均残高は、前年同月比6.7%増の90.3兆円。伸び率は、2003年2月以来13年ぶりの高水準でした。マイナス金利導入で銀行預金の金利が一段と下がり、タンス預金が増えことも一因です。
経済活動を行う以上、現金に対するニーズは常に存在し、基本的には、経済規模が拡大すれば現金の総量も増えます。ただし、最近の状況は複雑です。日銀の量的緩和策により、インフレ期待が徐々に高まっているはずなのに、デフレを象徴するようなタンス預金が増えているのです。
銀行預金のメリットが急減
大きな原因が、日銀のマイナス金利であることは明らかです。銀行預金の金利が一段と低下したため、企業どころか、一般家庭にとっても、銀行などに資金を預けるメリットが急減しました。日銀がマイナス金利の幅をさらに広げるとの観測も、タンス預金の増加に拍車をかけました。国民からなかなか払拭されないデフレマインド、急激に進展する高齢化の影響もある。税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度でも、一部の個人や企業は、番号の利用方法に関する不信感をぬぐえずにおり、手元に資金を保管する動きを強めています。
国民が現金を手元に置くようになれば、盗難などのリスクは高まり、国内全体の経済活性化が見込めません。マイナス金利が政策として全くの誤りとは言えませんが、先行する西欧と日本では、お金に対する意識も価値観も異なるわけで、限界が早めに見えてくる可能性はありますね。
[2016.3.27]
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