日本企業の対外直接投資1,224億円と過去最高ペース!国内投資は逆行、8年前の半分以下に政策は税制優遇だけ?
2年連続前年超え、過去最高の1,300億円に迫る勢い
JETRO(Japan External Trade Organization:日本貿易振興機構)は8月8日、「2013年版世界貿易投資報告」を発表。昨年、日本の対外直接投資は1,224億ドルと2年連続前年を上回り、過去最高の平成20年の1,308億ドルに迫っています。
昨年は、トヨタの米工場への投資や、東京海上ホールディングスの米保険会社のM&A(合併・買収)など米国向けの投資が前年から約2.2倍に拡大し320億円に達しました。今年に入ってからは、東南アジアなど新興国の成長を取り込む投資が目立ってきています。
ASEANへの直接投資5割増、中国3割減
今年上半期(1月〜6月)のASEAN(東南アジア諸国連合)向けの直接投資は、103億ドルと前年同期から55%増加。一方、尖閣諸島や反日リスクが顕在化する中国向けは、49億ドルと同31%減少。日本企業の投資先のASEANシフトは顕著となり、中国離れは確実に進んでいます。
ここ数年の円高により影響は、日本企業の海外での投資を大きく拡大させました。安倍政権は、国内での投資や企業のM&Aを景気刺激策を推し進めるものの依然、国内の案件は低調のままです。日本の企業は、これまで財務面で困窮しない限り、投資やM&Aなどが進まない文化があり、再編など容易ではありません。
日本企業同士のM&A規模は半減
昨年、日本企業同士のM&Aの規模は、約9兆4,100億円と平成17年の半分以下に縮小。企業は、縮小する国内市場を見切り、海外競争力への強化に、成長を求め国内から東南アジアなどへ資金が流出しています。
今年6月には、大半の役員からの反対により川崎重工業と三井造船の経営統合は解消。日本の造船業界は、中国や韓国など低価格競争に巻き込まれ、打撃を受けているのが現状。中韓国合わせた船舶量の世界シェアは、約7割支配されています。部門統合など世界に打ち勝つ次の手が注目されます。
海外生産を増強した企業の9割超え、「円安でも回帰しない」
日本政策投資銀行が8月5日発表した今年の「企業行動に関する意識調査結果」によると、海外で生産能力を強化した企業のほとんどが円安でも国内へ回帰するつもりがないことがわかりました。調査は資本金10億円以上、平成20年以降に海外生産能力を増強した大企業が対象で9割超えが「回帰なし」でした。
一度、海外生産の増強に舵ときれば、長年円高を放置し、政権交代で円安になったといえそう簡単に国内生産と言う訳にはいかないでしょう。米国では、シェール革命で一部の製造業がアジアなどから回帰する動きも見せていますが、資源のない日本、安倍政権の優遇税制だけで国内投資へ繋がるか疑問も残ります。
関連記事:「法人税減税は投資減税を優先!?企業は海外現地生産に貿易自由化の恩恵で海外投資」[2013.8.2配信]
[2013.8.14]
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 日本企業の対外直接投資1,224億円と過去最高ペース!国内投資は逆行、8年前の半分以下に政策は税制優遇だけ?
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.h-yagi.jp/mt5/mt-tb.cgi/1399
コメントする