都市ガスの小売り自由化:電力自由化に比べると参入企業の出足鈍く。登録企業は11社
障壁あって参入の出足は鈍い
4月から、都市ガスの小売りが全面自由化されました。東京電力ホールディングス(東京電力HD:東京都千代田区 廣瀬直己社長)や、関西電力(関西電力(株):大阪府大阪市 岩根茂樹社長)などが新規参入しました。ただ、原料調達やガス器具の保安義務などが「参入障壁」になり、1年前の家庭向け電力の小売り自由化に比べると、参入の動きは鈍いようです。
激化する関西電力と大阪ガスの闘い
最も動きがあるのは、関西電力(関西電力(株):大阪府大阪市 岩根茂樹社長)です。昨年末、ライバルとなる大阪ガスに比べ、ガス料金が最大8%安くなるプランを発表しました。これに対し、大阪ガスが対抗値下げを実施したところ、1週間後にさらに料金を引き下げるなど、顧客の争奪戦が激化していいます。関電は昨年4月以降、大阪ガスに電気の契約を29万件も奪われた経緯があり、今度はガスで逆に顧客を奪い返そうと意気込んでいるのです。
中部電力、九州電力も都市ガス小売りへ
東京電力ホールディングス(東京電力HD:東京都千代田区 廣瀬直己社長)も、今年7月から、都市ガスの小売りに参入します。東京ガス(東京ガス(株):東京都港区 広瀬道明社長)がそれに先行し、4月末までにネットで電気とガスの「セット割」を申し込むと、抽選で2千円相当分のポイントがもらえるキャンペーンを始めています。巻き返しなるか、注目です。中部電力(中部電力(株):愛知県名古屋市 勝野哲社長)と九州電力(九州電力(株):福岡県福岡市 瓜生道明社長)も、4月から家庭向けに都市ガスを売り始めます。
登録企業はいまだ11社のみ
とはいえ、家庭向けの都市ガス販売に参入しようと国に登録した企業は、大手電力や地方のガス会社を中心に、11社にとどまります。電力市場の時は、200社を超す新規参入があったのに。都市ガス事業の場合、①液化天然ガス(LNG)の調達ルートを自前で確保する必要がある、②家庭の給湯器やガスコンロの保安義務があるなどが、参入を難しくしています。
●関連記事:「電力小売り自由化まであと半年! エネルギーのベストミックスは何かを考える時代へ」[2015.11.9配信]
[2017.4.20]
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