築地市場が11月にいよいよ移転。最後の初セリを通して、市場を支えた多くの思いを記憶する。
多くの思いが支えた築地
築地市場が今年11月、豊洲新市場に移転します。話題としては少し古いのですが、新春恒例の、築地市場「最後」の初セリが記憶に残ります。落札したすしチェーン「すしざんまい」の木村清社長と、ホームページで発信を続けてきた「築地場外市場商店街振興組合」の鈴木章夫理事長の言葉を、それぞれたどっておきましょう。多くの思いが築地市場を支えてきました。
落札額の最高値は、青森県の大間産クロマグロで、1匹1400万円(200キロ)。1キロあたりの価格は7万円で、昨年の2.8倍でした。5年連続で最高値のマグロを落札した木村社長は、「築地最後の初セリで落とせて良かった。形、色、脂の乗りがどれも最高。お客様に喜んでもらいたい」と語りました。かつて1匹1億5540万円(222キロ)の値を付けたことを考えれば、額こそ大幅に下がりましたが、セリの面白さを一般に知らしめた自負も感じます。
築地と豊洲、ふたつの新しい物語を楽しみに
鈴木理事長は、ホームページでこうつづりました。「江戸時代に発祥した日本橋魚河岸が、関東大震災を機に築地に移転し、築地魚河岸は生まれました。その後、今日に至るまで、私ども"築地場外"は、場内と一体となって商売をして参りました」「築地は食の宝庫であり、他ではなかなか買い揃えることが出来ない商品が沢山揃っております」「本年は、新・築地を創出すべく、邁進してまいります」。移転反対運動がかなわず、残念さもひとしおなのでしょう。
移転を巡っては、大店と中小の店舗で意見が分かれました。移転に前向きな大店と、資金の問題もあり現状維持を望んだ中小の"対立"は、難しいものでした。新市場で生まれる新しい「物語」を楽しみにしています。
[2016.1.21]
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