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銀行114行「予証率」過去最低に!日銀「異次元金融緩和」維持で銀行は資金運用難

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資金の運用状況を示す予証率、過去最低に
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日銀によるマイナス金利政策によって銀行など金融機関は資金運用難に直面しています。
国内の銀行114行の資金運用状況を示す「予証率」は、今年3月期に25.9%に低下し、平成25年3月期から6年連続して前年を下回っている状況です。
「予証率」は、預金残高に対する有価証券残高の比率であり、銀行など金融機関の資金運用状況を表す指標の1つとなっています。
「予証率」は、調査が開始した平成18年3月期以来、過去最低を記録しました。

リーマン・ショック後に上昇も、円高是正放置で低下
これまで3月期の「予証率」は、リーマン・ショック前の平成20年に30.9%となり、その後上昇は続き、特に平成24年は歴史的な円高を記録し、大企業では設備投資意欲も抑えられ、急速な市場の悪化などを原因に株式や社債の比率が低下しました。
その結果、運用資金は大量に国債購入に流れ、「予証率」は、42.4%まで上昇しました。
その後は、平成25年に日銀が異次元金融緩和を導入し、銀行などから大量の「国債」を買い取り、その代金が金融機関の日銀当座預金に振り込まれました。
さらに翌26年10月に日銀は、「長期国債」の買い取りなど金融政策決定会合で決め、主要銀行を中心に「国債」の売却は進行し、「有価証券残高」は減少傾向です。

銀行の国債保有、5年で半減
銀行114行の今年3月期の「有価証券残高」は、209兆9,423億3,400万円で3年連続で前年を下回っており、「有価証券残高」のうち、「国債」は75兆2,905億4,300万円と平成25年3月期の160兆3,800億300万円から半減しました。
一方、114行の今年3月期の「現金預け金」の総額は、219兆2,804億800万円と前年同期から12.2%増加し、「有価証券残高」を上回りました。
その他の「有価証券」は、外国双剣や社債、株式、地方債などで、「国債」の残高が減少する中、リスクの低い地方債の増加が目立っています。

企業への貸出が増加?・・実態は国債の売却
「預証率」は6年連続で前年を下回り、一見、安倍政権が目指す企業への貸出増加のようにも見えますが、実態は銀行の「国債」の売却、「有価証券残高」が減少したことが鮮明になりました。
東京商工リサーチによると今年3月期の銀行114行の「預貸率」は、調査開始以来過去最低の65.5%と、預金、貸出金の差額は278兆円に拡大しました。
銀行からの貸出金の増加より、預金残高が伸びて資金を運用できずに「現金預け金」が積み上がっている状況に、今後、どう対応していくかが注目されます。


[2018.7.16]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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