郵政3社いよいよ上場、想定時価総額は計13兆円超!成功のカギは完全民営化と将来性のPR!
株式上場で、真の「民営化」を実現できるか
東京証券取引所が、「日本郵政」と、傘下の「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」の3社の株式上場を承認しました。時価総額(想定)は、3社合計で約13兆円にのぼり、1987年のNTTに次ぐ大型の新規上場となります。株式上場をテコにして、郵政民営化を進展させる狙いですが、課題は山積。安定した収益基盤を確立し、真の「民営化」を実現できるでしょうか。
上場は11月の予定です。初回売り出しの想定価格は、日本郵政が1株1350円、ゆうちょ銀行が1400円、かんぽ生命保険が2150円。単純に時価総額を計算すると、1.4兆円になります。NTTは2.2兆円、98年のNTTドコモは2.1兆円でした。政府は順次、日本郵政株の売却を進め、収入のうち4兆円を震災復興財源に充てます。被災地のことを考えれば、是が非でも、上場を成功させなければなりません。
収益力向上のための具体的なプランとスケジューリングがキモ
しかし、現状は厳しい。日本郵政が発表した今年度3月期の業績予想は、連結税引き後利益が前期比23%減の3700億円でした。郵便事業は慢性的な赤字で、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の利益で穴埋めしています。そのゆうちょ銀行は、制度上、高い金利を得られる個人向けローンや中小企業向け融資ができません。このため、預貯金残高はメガバンク最大の三菱東京UFJ銀行の1.4倍あるのに、税引き後利益は、同銀行の5717億円に対し、3694億円と低水準です。グループの収益力向上という大きな課題を抱え、市場の厳しい評価を乗り切れるでしょうか。
日本郵政は、「完全民営化」に向けたスケジュールを明示したうえで、金融2社の利益に頼らずに、どうやって郵便事業の収益基盤を強化するのか、グループの将来像を具体的に開示すべきです。全国に置かれた郵便局は、多彩な事業が展開可能な資源でもあり、日本郵政がどんな"戦略"を持っているのか、投資家たちは、虎視眈々と見極めようとしているのです。
[2015.10.5]
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