物流危機①:宅配便貨物、10年で9.4億個増。通販の拡大とドライバー不足で深刻化する現場の疲弊
38億6896個で6年連続過去最高
いまや日常生活に不可欠なアイテムとなった「宅配便」。平成28(2016)年の宅配便貨物の取扱個数は、約38億6896万個にのぼり、6年連続で過去最高を更新中です。伸び率でも前年比6.4%と高い水準で、取扱個数はこの10年で9.4億個増えました。数字だけ見れば、優良業界の代表のようですが、インターネット通販の拡大とドライバー不足で現場の疲弊が深刻化しています。
一般的になった「翌日配送」
ネット通販の拡大や消費者の増加が急ピッチで進んでおり、平成27(2015)年のネット通販の市場規模は13兆7700億円と5年前の1.8倍に膨らみました。深夜に頼んで翌日には物品が届くというサービスは、いまや一般的になった感があります。国土交通省は、物品を届ける主要な宅配便業者14社を対象に、宅配便貨物の動向を調査しましたが、取り扱い個数が特に増える昨年12月の場合、前年同月比9.9%増の4億6318万個で、過去最高を更新しました。
自動車運転手の有効求人倍率2.68倍だが...
しかし、こうなると、末端の物流業者には相当の負担がかかります。体力や運転技術が求められるトラック業界は、長時間労働の割に他業界より賃金が低く、慢性的な人手不足。宅配サービスなどを含む「自動車運転の職業」の1月の有効求人倍率(原数値)は2.68倍で、全産業平均の1.36倍を大きく上回っています。大型トラックのドライバーの平均年齢も47.3歳と、この10年で3歳も上がり、高齢化も深刻です。
労働環境改善かサービス劣化か
悪い労働環境には、人は集まりません。若者や女性を呼び込めるようにするためには、大幅な改善が必要でしょう。再配達を削減する仕組みづくりや、異なる企業同士の共同配送、駅の宅配ロッカー設置など、打つ手を打っていかないと、サービスが劣化してしまいます。
●関連記事:「「ドローン宅配」が3年以内に実現へ! 来夏の規制緩和でIoT社会が一層進む」[2015.11.21配信]
[2017.3.31]
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