改正農地法の規制緩和効果!農業への企業参入、3年で1,071法人増加は5倍のペース
法改正:休耕放棄地・後継者・高効率化問題の解消
農林水産省は2月8日、「企業などの農業参入について」を発表。平成21年12月に改正農地法施行後、昨年12月末までの3年で企業など新たに1,071法人が参入しました。同法改正前の6年間では、農業へ参入した企業は436法人と、法改正後は約5.3倍のペースで企業が参入しました。
農地法の改正は、休耕放棄地の増加や後継者不足、農業の効率化の改善するため、農地の有効利用と有効利用する経営体へ規制を大幅に緩和。これまでは農地所有者が耕作者だった常識が、企業などが賃貸やリースで所有することが可能となったことが企業の農業参入の増加に繋がったようです。
農水省:農林水産業の潜在力発掘に地方農政局、研究機関フル活用
農林水産省は1月29日に「攻めの農林水産業推進本部」を設置。同日の初会合では、日本の農林水産業の潜在力を最大限に引き出すため、地方農政局や研究機関などフル活用し現場の宝を発掘することが認識されました。
会合は、農林水産物の付加価値や競争力を高め、貿易自由化に耐えうる輸出の拡大などを検討。政府は、農林水産を経済成長に大きく貢献する分野と位置づけるだけに、今年6月を目処にまとめる成長戦略に攻めの農業政策を反映させる方針です。
参入企業の業務形態:転業、多角化?サービス・建設・小売業で全体の4割
農地法改正後に新たに参入した1,071法人の業務形態をみると、食品関連が全体の25%を占める270法人。農業・畜産業が15%の162法人と農林水産関連業の参入が4割を占める一方、サービス業他が21%の221法人、建設業が13%の144法人、卸売・小売業が6%の62法人と、転業や経営多角化とみられる動きも多く見られます。
作物別では野菜が全体の46%の492法人と半数近く占め、複合が19%の199法人、米麦等が17%の183法人と続きます。生産から加工、販売まで一貫した6次産業化の拡大が伺える一方、これまでの野菜生産力の低下も伺えます。
農ビジネス:法改正で黒字化まで期間短縮
農業へ参入する企業の課題は、付加価値のある商品開発や販路拡大のほかにも採算確保はビジネスとして重要となります。昨年の日本政策金融公庫の調査によると、農業参入から黒字化までの期間は改正農地法前の調査では7.6年でしたが法改正後では4.9年と短縮し、改善もみられます。公庫では、平成22年10月から「農業改良資金」融資を始め、2ケ月連続して10億円を超える融資を実施。6次産業などへ転業する企業も急増し、黒字化までの期間短縮も期待されます。
政府は、今年2月1日に官民ファンドを発足させ、これまでのばらまき政策から結果が求められる出資へ軸足を移しました。地域金融機関でも6次産業向けのファンドが創設されるなど、資金面でもこれからの成長産業となる農林水産業を後押しします。
[2013.2.18]
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