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マイナス金利:生保マネー国債離れ、主要10社は利回り重視、ヘッジ付き外債に投資拡大

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日本国債の利回りは歴史的な低水準
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 日銀がマイナス金利政策を導入してから、約2カ月が過ぎました。日本国債の利回りが"歴史的"な低水準になるなか、生命保険各社が、利回りの高い外国債券への投資を拡大するようです。総資産300兆円とされる「生保マネー」の動向は、日本経済にも影響を与えます。

主要生保10社が外債への投資額増
 生保各社の平成28(2016)年度の運用計画が出そろいました。顕著な傾向として出てきたのが投資先の変更で、為替変動リスクを抑えた「ヘッジ付き外債」*への移行が目立ちました。

かんぽ生命保険((株)かんぽ生命保険:東京都千代田区霞が関 石井雅実社長)を含む主要生保10社(日本生命・第一生命・住友生命・明治安田生命・大同生命・三井生命・富国生命・太陽生命・朝日生命・かんぽ生命)がこぞって、投資額を増やします。三井生命保険(三井生命保険(株):東京都江東区青海 有末真哉社長)は約1000億円、フコク生命保険(富国生命保険(相):東京都千代田区内幸町 米山好映社長)は約300億円を積み増す計画。一方、国債への投資は減少の流れです。

30年物国債、利回り0.3%台
 安定運営が優先される生保は、歴史的にも、日本の超長期債を主な投資先としてきましたが、新発30年物国債の利回りが過去最低の0.3%台とあっては、やむを得ない判断なのでしょう。

ヘッジ付き外債は、たとえば米ドル建ての場合、数カ月先の円買い・ドル売りの為替予約を行います。日米の短期金利差が投資側のコストになりますが、それを踏まえても、10年物の利回りが1.8%台で推移している米国債のほうが、日本国債より利益につながります。

相場の変化を読む難しさも
 とはいえ、米国では大統領選挙など政治イベントを控え、結果次第で、円相場が一時的に円高に振れる可能性もあります。各社とも、平成28(2016)年度の円相場の高値を1ドル=100円と予想していますが、積極的な為替リスク、投資リスクも取れない。こうしたなか、外債のヘッジコストが低い欧州に注目する動きも出ています。相場の変化に合わせた機動的な運用手腕が問われています。

[2016.5.12]
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ヘッジ付き外債:
外貨建債券に投資する場合に、為替の変動によるリスクを回避するために為替にヘッジを付ける方法。
為替ヘッジを付けることで、為替予約取引の際に、あらかじめ決められたレートでの受け渡しをする契約を締結できる。

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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