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信用保証協会の代位弁済、7割が100%保証融資の焦げ付き!緊急保証が無ければ破産続出

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リーマンショック、中小金融支援:保証協会80%、金融機関20%保証から保証協会100%へ拡大
中小企業庁は6月13日、国などが企業への融資を全額100%保証する緊急信用保証の代位弁済の状況を発表しました。代位弁済は、債務者以外の第三者が債権者に対して代わり債務を弁済することで、企業では事業の借入れ資金の返済が延滞した場合、保証協会などが代わりに金融機関に代位弁済をします。
信用保証融資は、平成19年10月より責任共有が導入され、信用保証協会が80%、金融機関が20%が保証し中小企業などに融資されてきましたが、平成20年9月のリーマン・ショック時の中小企業資金繰り支援にセーフティネット5号などは信用保証協会が100%保証し融資されてきました。

金融機関:国の100%保証で安心して企業へ融資拡大?
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中小企業庁が発表した平成23年度(平成23年4月~24年3月)、信用保証協会が金融機関へ行った代位弁済額は8,607億9,700万円。このうち信用保証協会が100%保証したセーフティネット5号などの緊急信用保証の代位弁済は、全体の74.4%に当る6,406億1,400万円。信用保証協会の代位弁済の7割が100%保証であったことから、金融機関など融資ノルマ達成に、破綻懸念のある企業へも融資を拡大していたのではとの指摘も上がっています。
金融機関は、中小企業などへ事業資金融資の際、全国52ある信用保証協会が保証人となればリスクがなく安心して融資することができます。全額保証を受け、貸し渋りで融資を受けられなかった中小企業が融資を受けられ、みごとに再建した企業があることも無視できません。

消費増税対策?100%保証、仕分けで対象業種縮小を検討
経済産業省では6月7日から始まった「省庁版事業仕分け」で、中小企業向け融資で信用保証協会が保証する問題について抜本的な見直しが必要と判断。原則全業種で全額保証する融資は大幅に縮小され、今年度下半期からも実施される可能性が出てきました。仕分け人となった6人の有識者は「金融機関のモラルハザードは見過ごせない」の意見で一致しています。このことは有識者が「中小企業は見捨てる」としか聞こえません。
省庁版事業仕分けは、6月21日まで14府省庁の90事業、約1兆2,000億円分を対象に実施される予定です。中小企業向け支援が無駄とされ、予算削減で消費増税をアピールとも見られます。

100%保証:対象業種の縮小
信用保証協会の100%保証の対象業種が縮小となれば、金融機関には20%の貸出しリスクが課せられ当然審査も厳しくなり貸し渋りも予測されます。欧州金融危機はしばらく続き円高は長引き、さらに電力供給不足に電気料金値上げと中小企業の経営環境が悪化している状況で有効な金融支援が次々に縮小、打切りとなっています。
政府は増税、節電ばかりを強要し、メディアでは評論家が打開策に成長戦略と現実味のない発言が繰り返され、具体的なアクションは見えてきません。日の丸企業を支えてきたのは日本の企業の9割以上を占める中小企業です。今、この中小企業への継続的支援を打ち出さなければ国内に活況は戻りません。

[2012.6.20]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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