最低賃金:都市部で大幅UP!東京1,000円台も視野に/広がる地域格差、地方の労働力流出懸念
過去最高!都道府県、地域別最低賃金が決定
厚生労働省の発表によると、平成29年度の時間給(全国平均)は25円増の848円。引き上げ額の25円は、昨年度に続き過去最高となっています。
最低賃金の引き上げはアベノミクスを支える柱のひとつ。賃上げで消費を喚起しないことには、安部政権が目標とする「成長と分配の好循環」がままなりません。
このため、安倍晋三首相自ら旗を振り、異例の引き上げ幅を実現させてきた結果、東京では958円と、1,000円台が視野に入ってきました。
地域格差、高知・佐賀・長崎県は最低額
一方、改正後の最低額は高知県や佐賀県、長崎県など8県の737円。最高額の東京都と比較すると221円と、前年度比3円拡大。東京都や大阪府、愛知県といった大都市部の引き上げ額は大きいものの、最低賃金が800円にも満たない地域はまだまだ多いのが現実です。
時給800円未満で就労した場合、フルタイムで働いたとしても年収は200万円にも届きません。生活を維持できる水準には程遠く、消費に回せる余裕はまずないでしょう。
「全国加重平均1,000円」ではなく、早期に「全国一律1,000円」を実現しなければ、「労働者の生活の安定」「国民経済の健全な発展に寄与」という最低賃金法1条の目的を達成することは難しいとも考えられます。
地域格差は毎年拡大
目安は各都道府県を経済規模に応じてA~Dの4ランクに分けて示しています。
東京、愛知などのAランクが26円、北東北や南九州などのDランクは22円と、地域格差は毎年広がり続けているのです。この差は、東京一極集中を加速させ、地方の人手不足に拍車がかかる恐れもあります。
東京では五輪を控え、ただでさえ経済活動が拡大しています。加えて、賃金格差が大きいとなれば、地方から首都圏などへの働き手の流出にも拍車がかかるでしょう。
労働力確保は深刻化
「人手不足」が深刻化しているいま、労働力の確保は企業にとって重要な課題です。そんななかで、歯を食いしばり、経営者の身を削って賃金水準を上げても追いつかないという事業所も少なくはないでしょう。
地方では中小・零細企業の体力不足が懸念されています。大幅な賃金アップの努力を企業だけに求めるのでは経営を圧迫しかねません。
人手不足と人件費上昇の二重苦で息切れ企業も
「最低賃金3%上げありき」が続けば、人手不足と人件費の上昇という二重苦で息切れする企業が出てくることは確実です。
「津々浦々」に好循環を波及させるはずの政策が、地方から人の姿を消してしまっては本末転倒。最低賃金の引き上げに関しては、地元企業への影響を十分に鑑み、労働者の賃上げと共に企業への支援策が充実されることを望みます。
●関連記事:「最低賃金の引上げ幅、時間あたり25円で過去最高!全国平均時給848円に」[2017.8.18配信]
[2017.8.24]
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