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農水省「第6次産業化」強化に1,000億円ファンド創設:TPP参加でアジアの活力取込み国内成長を実現

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「食と農林漁業の再生実現会議」:生産・加工・流通一体で競争力強化
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農林水産省は9月6日、加工業や流通業へ参入を目指す農業法人などへの金融支援に1,000億円規模の官民ファンドを創設する方針を決めました。いわゆる「第6次産業」を強化しようという狙いです。「第6次産業」とは耳慣れない言葉ですよね。本来、農林漁業者自体が生産を担う第1次産業に属し、第2次産業は加工、第3次産業の流通・サービス、という産業分類は社会科授業で習った記憶があります。
「第6次」ということは、いつの間にか第4次、第5次の産業分類が出来上がっていたのか?と不勉強を反省したのですが、第4次も第5次も産業分類として確立されていたわけではなく、第1次産業に属する農林水産業者が自らの生産物のブランド化を図ったり、加工や流通などにも積極関与して収益率を高めて競争力をつけよう、という取り組みを「第6次産業化」と呼ぶのだそうです。いずれにせよ、それを農水省がファンド創設して参入する事業者を支援します、ということです。

1,000億円もの投資を活かせるか?
8月2日に行われた「食と農林漁業の再生実現会議」では、農林漁業の規模拡大への加速化に取り組み、資本増強に向けたファンド創設のほか、新規就農者への支援などが盛り込まれました。「第6次産業化」という名称はわかりにくいですが、単なるバラマキよりも効果が期待できるかもしれません。しかしながら、公的要素を帯びたファンドから農業への投資はこれまでにもたくさんの事例がありますが、現状は残念ながら農業への投資意欲は全く冷え込んでいます。
原因ははっきりしています。投資対象に対する目利きの甘さと陳腐な継続支援体制です。革新的な新技術は比較的評価がしやすく、仮に投資が失敗した際の責任論も回避しやすいため、先端、革新という名目の技術への投資が先行しやすい。しかし、専門家はビジネスマンではありませんから、その技術がどれくらいのマーケットを生み出すのか、どこに売れるのか、あるいは買ってくれるのか、という視点での評価がなされない。イコール、ビジネス視点でのプレゼンテーションができないため情報が全くマーケットに伝わらない⇒追加投資が必要なのに支援が受けられずマーケットに上梓できない、という構図になっています。これが日本の最大の弱点です。せっかく立ち上げるファンドですから、「ビジネスデューデリ」を軸に据え、追加支援も行い、メジャープレイヤーに成長する企業に育て挙げてほしいですね。国が腹を据えて取り組むならば、われわれセントラル総研も手伝いますがね。

戸別所得補償:対象農家の約7割、申請119万件
ところが、野田新内閣のもと再任された鹿野農林水産相は、「食と農林漁業の再生実現会議」で5年で水田を中心とした農業の経営規模を20~30ヘクタールに拡大する目標を立てています。そのために戸別所得補償で農地拡大を図る農家に対して交付金を上積みする「規模加算」の拡充に意欲を見せます。戸別所得補償は民主マニフェストの目玉として昨年から実施されていますが、今年度から補償対象としたコメに加え、小麦や大豆など畑作へも拡充。7月末時点で119万件の所得補償の申請がありました。実に対象農家の約7割にばらまかれたことになります。う~ん、国家財政がかなり疲弊しているのですからね。
戸別所得補償は民主、自民、公明3党、見直しで合意されていますが、農林水産行政にこそ、バラマキ政策効果をしっかり検証し、選択と集中が必要なのではないでしょうか?ファンドからの投資、投資対象の育成を強化した方がよいと思いますが、これも「どじょう流」のバランスなのでしょう。

成長を呼び込むTPP:経省相ものんびり
政府方針では、強い農業を目指すとしながらも、国際競争力が成長しない要因の一つになっている小規模農家への補償を続けています。小さいながらもキラリと光っているならばよいのですが、補償をするだけでは血税が単なる死に金、農業生産人口の高齢化も伴って衰退してゆくでしょう。先の「食と農林漁業の再生実現会議」でも、自由貿易化を目指すTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加の判断は、先送りされ進展が見えてきません。
新内閣となった鹿野農林水産相もTPPに関しては、交渉内容は農林水産物だけでなく、環境や労働、知的財産分やなど24分野もあり情報が不足していると消極的態度。一方、TPP交渉早期参加を推進すべき立場の鉢呂経済産業相は9月5日の会見で「反対、推進の両極端の議論を乗り越えるのが私の使命」と産業界が円高、デフレに悲鳴を上げるなか、こんなのんびりムードでよいのでしょうか?より一層の積極参加姿勢を見せ、関連省庁と連携をとりながら方向を示すべきです。

風評薄れ?6月の日本の食品輸出額、増加に回復
JETRO(日本貿易振興機構)によると、原発事故の風評被害で日本の食品の輸出額は、4月に前年同月比10,3%減、5月は同16.6%減と大幅に減少しましたが、6月は一転、同11.6%増の3億3,342万ドルと急速に回復しました。時とともに風評被害も一服でしょうか。食料品の輸出急回復の要因は、韓国や台湾、タイなど顕著な回復を示すものの、中国、香港が前年割れとなっています。5月の日中首相会談では温家宝首相は食品の輸入再開を表明しましたが、未だ実行されていません。
政府は月内に外務省、農林水産省の担当を中国へ派遣し中国当局と協議するとしていますが、温首相は口だけだった前首相を見習ったのかお互い様と言わんばかりに毅然とした態度で臨んで欲しいですね。こうなると、「6次産業化」への期待がさらに大きくなるわけですが、貿易自由化に負けない農業ビジネスモデルを確立し、輸出の拡大し、巨大マーケットのアジアを中心に勝負して、外貨を獲得し、デフレ脱却を推進すべきでしょう。

▼関連サイト:オフィシャル「TPPで日本の農漁業が変わる第6次産業」

[2011.9.10]

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八木宏之プロフィール
セントラル総研・八木宏之
株式会社セントラル総合研究所 代表取締役社長。連帯保証人制度見直し協議会発起人。NPO法人自殺対策支援センターLIFE LINK賛同者。
昭和34年、東京都生まれ。大学卒業後、銀行系リース会社で全国屈指の債権回収担当者として活躍。平成8年、経営者への財務アドバイスなどの経験を活かし、事業再生専門コンサルティング会社、株式会社セントラル総合研究所を設立。以来14年間、中小企業の「事業再生と敗者復活」を掲げ、9000件近い相談に応えてきた。
事業再生に関わる著書も多く出版。平成22年5月新刊『たかが赤字でくよくよするな!』(大和書房)をはじめ、『7000社を救ったプロの事業再生術』(日本実業出版)、『債務者が主導権を握る事業再生 経営者なら諦めるな』(かんき出版)、平成14年、『借りたカネは返すな!』(アスコム)はシリーズ55万部を記録。その他実用書など数冊を出版している。
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